コンテンツマーケティングやメディア運用など、近年のWebマーケティングは複雑化する一方。それに伴ってユーザーの購買行動も変容し、今やペイドメディア(Web広告)に対する慣れや不信感は高まっています。
そんな中で注目を集めているのがオウンドメディアです。特にブログ形態の発信は、広告感が薄いこととその手軽さから始める企業も多く、上司から「ちょっとお願い」と運用を任された人もいるのではないでしょうか。
しかし企業ブログで成果を出すのは想像するほど簡単ではありません。今回は企業ブログ運営について、効果的な考え方・運用方法を目的別に解説。高い成果を出している成功事例もご紹介します。
目次
企業ブログとオウンドメディアの関係とは?
はじめに、本記事で「企業ブログ」と呼ぶものが何を指しているか、また近年注目されている「オウンドメディア」と何が違うのか、確認しておきましょう。
結論からお伝えすると、企業ブログとはオウンドメディアと総称されるものに含まれる一つの発信形態です。
もともとブログは「ウェブログ=Weblog」の略称で、logは記録や履歴のこと。単に「ブログ」といった場合、(主に文章を)Web上に記録していくツールや発信された中身そのものを指します。企業ブログは「企業が発信するブログ」ですね。
一方、オウンドメディアとは、企業が自社で所有・運用するメディアの総称です。Web上に制作された文章や写真、動画などによるメディアコンテンツの他、広義では紙媒体や電子メールも、企業が所有するメディアであればすべてオウンドメディアに含まれます。
ブログというメディア形態が多くの人にとって身近な存在ということもあり、企業ブログは他のオウンドメディアに比べて運用しやすい印象をもたれがち。
確かに、立ち上げ自体は比較的ハードルの低いものです。しかし実際には他のオウンドメディア同様、コンテンツの質・量を担保しなくてはユーザーの不信感を招きますし、成果を出すには戦略とコストが必要です。
そこで続いて、企業ブログにより高い価値を持たせるための方法をや運用メリット、注意点を「目的別」で考えてみましょう。
Web制作・コンテンツ制作をご検討中の企業様、内製が負担になっている担当者様、「Web制作会社スプー」に、お気軽にお問い合わせください!
企業ブログは発信する「目的別」で考える
運用目的を明確にすれば方向性を絞れる
あなたの会社がブログを運用しようと考えているのはなぜでしょうか?
一般的に、企業ブログの運用目的は次の4つに分かれます(またはその複合)。
- 集客
- ブランディング
- 採用
- 教育
企業ブログの目的は、目的とテーマがしっかりしている方が、伝えたいユーザーに届きやすくなります。まずは目的をハッキリさせ、そこから方向性を考えていきましょう。
「集客」が目的の企業ブログ
企業ブログを集客目的で運用するなら、商材の魅力をよく伝えることが何より重要です。商品・サービスに関する使用方法や活用例、開発時のこだわりなどを紹介するのがよいでしょう。
ECサイトがあるなら、ECサイト内でブログを展開してみてはいかがでしょうか。記事内にカートボタンを設置すれば、読者の購入意欲が高まった瞬間を逃しません。また商材それぞれに専用サイトがある場合は、各サイト内で当該製品・サービスに絞ったブログを展開するのがおすすめ。コーポレートサイト内のブログで複数の商材をごちゃ混ぜに紹介するよりも、各サイトで専門的な色を強く打ち出す方が記事の価値を高めることができます。
もし小規模な企業でコーポレートサイトと製品紹介を兼ねている場合は、テーマが偏らないようにテーマごとの記事数を振り分けられるとよいでしょう。
加えて、ブログ記事の内容は、潜在層向け/顕在層向けでそれぞれ工夫する必要があります。潜在層向けではユーザーのニーズ喚起が最優先事項ですし、顕在層向けなら購入意欲をかき立てたり、継続を促すことが重要です。
集客目的で企業ブログを運用するメリット
- 商材に紐づくキーワードで検索上位を獲得すれば広告費を削減できる
- 専門性の高い商材は技術力アピールに繋がる
- 営業用資料への活用や社員の知識向上にもお役立ち
運用する際の注意点
- 集客に直結させるにはSEO知識が必要
- SEOの成果が出るまで時間を要する
- ターゲット読者の意識レベル(今すぐ/そのうち/おなやみ/まだまだ)に合わせたCTA設計が重要
「ブランディング」が目的の企業ブログ
ブランディング目的で運用するなら、集客や売り上げには直接繋がらないことを承知の上で企業としての価値を示していくことが大切です。
製品の開発秘話やブランドコンセプト、専門的な話題を積極的に取り上げて、ブランドに親しみを持ってもらう、世界観のファンになってもらうなどユーザーを引きつけていきましょう。
そのためにも初期はSEOにこだわりすぎず、自社のカラーを前面に出して他社と差別化を図ることをおすすめします。
ブランディング目的で企業ブログを運用するメリット
- ブランドファンの創出
- 企業の信頼性やSEOにおける権威性を示すことができる
運用する際の注意点
- それなりの記事数がないとチープに見えがち
- ブランドアイデンティティを明確に打ち出す工夫が必要
「採用」が目的の企業ブログ
求職者を対象に、業務内容や企業文化が伝わる情報を発信します。
コーポレートサイトの他に採用のためのWebサイトを運用している場合は、その中でブログを運用する方が◎。内容は、社内の雰囲気や業務内容、組織イベントの様子、福利厚生などを取り上げ、読者が「ここで働く姿」をイメージできるものにしましょう。インタビューや対談、現場リポート風記事をはじめ、「数字で見る○○」といった社内データも興味を引きやすいですよ。社員の人となり、また現場の空気感を伝えるために写真や動画があると尚いいですね。内容の難易度は新卒採用/中途採用それぞれで工夫する必要があります。
他の3つの目的以上に社内の全部署の協力が必要ですから、ブログ担当者には社内の幅広い情報を扱う公報や人事の方が適任です。
採用目的で企業ブログを運用するメリット
- 求人への応募者が増える可能性
- 入社前のミスマッチを防げる
- 現社員もブログを見れば社内コミュニケーションになる
運用する際の注意点
- 退職者が出たときに、登場記事や発言の削除などメンテナンスが必要な場合も
- 顔出しなど社員に負荷がかかる可能性がある(選択肢を与えられる工夫が必要)
- 世代や専門性など、求める人物像に近い社員に登場してもらわないとミスマッチに
「教育」が目的の企業ブログ
企業ブログは、ターゲット読者に向けた情報発信ツールとしてだけでなく、社員教育のツールとして活用することもできます。
業務で得た知見や業界の旬なトピックス・新技術についてなど、習得したさまざまなノウハウを社員たち自らが発信し、オウンドメディアとして蓄積していきます。
狙えるメリットとしては、社員は情報を整理しアウトプットする(言語化する)ことで、ノウハウを定着化させることができ、同時に読者には知識を提供できる点。さらに内容のレベルが高ければ、集客・ブランディング・採用活動にも効果を発揮します。
この一石二鳥、一石三鳥を期待できる教育目的の企業ブログは、受託系の制作会社で盛んに実施されています。
教育目的で企業ブログを運用するメリット
- 社員の成長を促進する
- 質の高い内容であれば権威性を示すことに繋がる
運用する際の注意点
- 複数社員でブログ記事投稿を持ち回りするため、負担に注意
- ブログ作成の効率化・仕組み化を図り、業務自体に余裕を持たせることが大事
継続していけば複合的な効果も狙える
初めて企業ブログを立ち上げる際には、まずは上の4つの目的から1つだけを選んで運用していくことを推奨します。
というのも、目的が複数にまたがるということは目指すゴールも複数になるということ。効果的な運用スキルもないうちから欲張ると、企画も担当者も息切れしてしまいます。せっかく立ち上げたのに、途中で力尽きてしまってはもったいないですよね。
また、たとえば「集客」に目的を絞ったブログでも、コンテンツ量を増やしていけば必然的に話題は広く深くなりますし、そうなれば結果として「集客とブランディング」「集客と採用」など複合的に効いてくることが往々にしてあります。
企業ブログも他のオウンドメディアと同じように、成果が出るまでには時間を要しますから、まずは良質なコンテンツを増やすことに集中しましょう。
企業ブログの成功事例
Goodpatch Blog(グッドパッチブログ)by 株式会社グッドパッチ
メディア名 | Goodpatch Blog |
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運用会社 | 株式会社グッドパッチ |
URL | https://goodpatch.com/blog |
株式会社グッドパッチは製品開発からロゴデザイン、ソフトウェアやWebサイト構築などモノ・コト・ビジネスに関する総合的なデザインを提供する企業です。『Goodpatch Blog』は、業務で生まれたナレッジの紹介記事や顧客との対談記事など、同社が培った知見を惜しみなく披露している企業ブログ。
専門性を示すことで集客とブランディングに、会社の方向性を示すことで採用活動に、またスタッフによる執筆は人材教育にと、複合的な記事構成により前の章でご紹介した「企業ブログ4つの目的」のすべて(集客・ブランディング・採用・教育)を複合的に達成している好例です。
その一端を見るのが、CTAに「お問い合わせ」「採用」どちらも設定されている点。更新頻度も高く、ブログの記事内容を絞らずあえて雑多にすることで、幅広く読者を集めている印象です。
ばね探訪 by 東海バネ工業株式会社
メディア名 | ばね探訪 |
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運用会社 | 東海バネ工業株式会社 |
URL | https://tokaibane.com/bane-tanbo/ |
ブログを運用する東海バネ工業株式会社は、創業から90年以上、ニッチで専門性の高いバネ一筋で経営されているバネ製作の専業メーカー。『ばね探訪』は、同社のバネが活躍するモノづくり現場を伝えるインタビュー&リポートブログです。
丁寧な取材記事を通して伝わってくるのは、製品への愛や業界への誇り。更新ペースこそ速くはありませんが、2008年から長期にわたってメディアづくりしているところが、かえってマーケティングのためだけではない意気込みを感じます。
結果としてブランディングに効いている様子で、複数メディアでオウンドメディア成功事例として何度も紹介された実績あり。インタビュー系記事が並ぶため、一般的にイメージするブログサイトとは少し趣が異なる点もオリジナリティを感じます。
企業ブログは記事の蓄積が命。継続できる体制が重要
「コストと戦略の必要性」について社内認識が必要
企業ブログを運用するメリットは、Web広告による集客より運用コストを抑えやすいことと、蓄積した情報が企業の資産となることです。
しかし、いくら広告費が不要といっても運用には人的・金銭的コストが必須ですし、コンテンツの質・量を担保しなくてはユーザーの不信感を招きます。また成果が出るまでに時間がかかることは覚悟せねばならず、気軽に制作・運用できるつもりでいると失敗します。こういった点について、社内でしっかり認識を共有しておくことが大切です。
オウンドメディアの戦略について、こちらの記事で詳しく解説しています。
企業ブログ運用のために制作体制を整える
企業ブログを成功に導くには「更新を継続すること」「目的に沿った良質なネタを切らさないこと」がカギとなります。運用をスタートする前に、コンテンツを生み出し続けるための制作体制を検討しましょう。
ブログ運用は戦略立案やネタ出し、取材、執筆、デザインなど煩雑な業務を経るため、業務の片手間にできるものではありません。理想は、ある程度の決裁権を持つ専任者を設けることです。しっかりとした体制と事前準備があってこそ、充実した企業ブログを運用できるのです。
オウンドメディアの制作体制について、こちらの記事で詳しく解説しています。
良質な企業ブログ・オウンドメディアの運用、スプーがお手伝いします
ブログは身近なツールですが、企業ブログともなれば記事の内容や質、更新頻度など戦略的に取り組む必要があります。
となると、考慮しておくべきはブログ担当者の作業負担です。個人ブログのように思いついたネタでスキマ時間に書く……というわけにはいきませんし、ネタ出しから企画、取材、執筆、公開後の成果分析など業務は多岐にわたります。
もし人的リソースを割く余裕がない、戦略の立て方がわからないといった場合は、企業ブログの運用を得意とする制作会社に外注を検討されてみてはいかがでしょうか。
私たちスプーは、これまで20年以上にわたって企業様のオウンドメディア構築・運用をお手伝いしてきました。クライアント様の事業理解から始まり、目標・目的設定や企画、執筆、成果分析など企業ブログ運用に関するあらゆる業務を支援します。
特に運用のカギとなる「運用目的に沿った良質なコンテンツ制作」には自信がありますので、企業ブログ運用に迷われたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
豊富な実績と編集力で、ご期待以上のクオリティを提供いたします。