企業が自社で情報発信を行う「オウンドメディア」を活用して、大きなマーケティング効果を生み出している企業が増えています。そうした成功事例を見て「うちの会社でも、オウンドメディアを始めてみたい!」とお考えの方も少なくないと思います。
しかしオウンドメディアで成果を出すのはそう簡単なことではなく、最初の立ち上げの段階から、様々な問題に頭を巡らせ準備しておかねばなりません。
今回は、当社の豊富なコンテンツ制作・運用実績をもとに、オウンドメディアの立ち上げ・構築・運用それぞれに関わる業務の流れや押さえておきたいポイントを詳しくご説明します。オウンドメディア立ち上げをご検討中の方はぜひご参考になさってください
目次
オウンドメディアとは
オウンドメディアとは、「Owned(所有している) Media」の名前通り、企業が自社で保有しているメディアの総称です。一般的にはWebコンテンツを指すことが多いですが、広い意味ではパンフレット・カタログなどの紙媒体、メルマガや動画コンテンツなどもオウンドメディアに含まれます。
なお、本記事でいう「オウンドメディア」は、基本的に運営者が継続的に記事コンテンツを追加していく形式のWebサイトを想定しています。
Web制作・コンテンツ制作をご検討中の企業様、内製が負担になっている担当者様、「Web制作会社スプー」に、お気軽にお問い合わせください!
オウンドメディアを運営する主要な目的
このあと詳しくご説明しますが、オウンドメディアを立ち上げ、構築・運用できるまでには少なからず労力と時間がかかります。そうしてまでメディアを持つのは何のためか、最初によく確認しておきましょう。一般的に、オウンドメディアを運営する主な目的は次の3つです。
広告に依存せず顧客との接点を増やす
Webマーケティングにおいて、自社の製品・サービスが認知されていない状態でより広範なユーザー層にアプローチする手段として、最も簡便なのがWeb広告です。しかし広告配信は有料のためコスト面の問題があり、また広告というだけで敬遠するユーザー層も一定数あることから、宣伝活動を広告だけに依存するのはリスキーといえるでしょう。
オウンドメディアを通じて、宣伝ありきでなく、ユーザーに有益かつ自社製品へのニーズを喚起する情報を発信し続けることで、コストをかけずに新規顧客との接点を増やせます。
潜在顧客を見込み客・顧客に引き上げる
オウンドメディアはWebサイトに情報コンテンツを蓄積していくため、比較的SEOに強く、自社の商材に興味関心を持ち始め自らWeb上で検索しているユーザーに情報が届きやすくなります。
またオウンドメディアでは、Webコンテンツを通じて、カタログ的な製品紹介では表現しきれない、商品の魅力や生産者の思い・こだわりといった密度の濃い情報の配信が可能です。接点を持った潜在顧客に対して、製品への理解と自社への信頼性を高めながら見込み客となってもらい、さらに商品購入やサービス利用への誘導(見込み客の顧客化)も期待できます。
顧客のファン化・LTVの向上
オウンドメディアが持つ、他のメディアと比べて最も特徴的な性質は「継続性」です。
中長期にわたりコンテンツを蓄積して内容を充実させていく、いわゆる「育てる」タイプのメディアであり、運用を始めてすぐ売上やコンバージョンの向上に直結することはほぼありません。
しかし継続的に良質なコンテンツを発信することで、ユーザーと確かな信頼関係の構築につながります。顧客がその企業や製品のファンとしてリピーター化する可能性は高く、また企業もそうした優良顧客をフォローアップし末永く関係性を築けるほどLTV(顧客生涯価値)は高まるでしょう。
オウンドメディアの立ち上げ・設計の流れ
オウンドメディアを立ち上げる目的についてご理解いただいたところで、実際にメディアを構築・運用するまでの流れを「立ち上げ→構築→運用」の3ステップに分けてご説明していきます。
まずは、最初の立ち上げ段階についてです。
【1】目標を具体的に設定する
どんなプロジェクトでも、最初の目標設定が重要なのは言うまでもありません。貴社がオウンドメディアで達成したい目標やゴールをより具体的にしておきましょう。
例えば、新規顧客との接点を増やすために「より多くのページビューを獲得する」「特定キーワードで検索上位を目指す」といった目標でも良いですし、見込み客の獲得を目指して「メールマガジンの購読数を増やす」というのも目標の一つです。
そして具体的に掲げたミッションに応じて、その達成に向けたKGI/KPI(検索順位、PV数、CV数など)を設定し、その数値目標をメディア運用の指標としていきます。
【2】構築・運用の体制作り
オウンドメディアの構築・運用がうまくいかない原因として最もよく見られるのは、一部の担当者に負荷がかかりすぎてしまい、業務が回らなくなるケースです。これをなくすためには、メディア立ち上げの段階から、必要なスタッフの手配と体制作りを行っておく必要があります。
コンテンツの規模や更新頻度を踏まえて、どの程度の人手が必要か、その中で社内で手配できる人員と外部委託すべき人員の振り分けなどを考えておきましょう。
また場合によっては、スタッフがオウンドメディア構築・運用に専念できるよう専門部署の立ち上げも必要です。
一般的なオウンドメディアの構築・運用には、それぞれ次のような人員が必要となります。必ずしも全ての役割が必要なわけではありませんが、体制作りのご参考になさってください。
オウンドメディア“構築”に必要なスタッフ
プロジェクトマネージャー | 要件定義や構築・運用上の予算管理を行うなどメディアに関わる業務の全体を管理します。 |
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Webディレクター | オウンドメディアの実体となるWebサイトの設計や制作業務の進行管理を行います。 |
Webデザイナー | Webサイトのデザイン制作を行います。 |
マークアップエンジニア | HTML・CSS・JavaScriptを使ってWebサイトの表示を設計・構築します。 |
システムエンジニア | Webサイトやコンテンツを管理するシステム(CMS)を設計・構築します。 |
インフラエンジニア | 大規模なオウンドメディアを構築する場合、コンテンツへの大量なアクセスにもメディアが安定稼働できる環境を整備します。 |
オウンドメディア“運用”に必要なスタッフ
編集長 | 予算や数値目標の管理、分析、各所への報告など、メディアの進行全体を把握しプロデューサー的な業務を担います。 |
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コンテンツディレクター | コンテンツごとの進行管理を行います。 |
ライター | 設定されたテーマやキーワード、文字数などにしたがってコンテンツの記事を執筆します。 |
クリエイター | コンテンツに必要なクリエイティブ(画像、動画など)を作成します。その内容によってデザイナー、イラストレーター、フォトグラファー、動画クリエイターなどに分担されます。 |
オウンドメディア構築時の流れ
目標設定と体制作りができれば、実際にオウンドメディアを構築していく運びになります。その流れについてご説明します。
【1】ペルソナの設定
ペルソナとは、オウンドメディアを訪れると想定される典型的な人物像のことです。ペルソナが明確になることで、「どんなテーマ・内容のコンテンツを作ってゆけば良いか」「サイトのデザインテイストはどうすれば良いか」といったオウンドメディア構築の方針が見えてきます。
ペルソナには、年齢や性別、居住地、職業、家族構成、ライフスタイルなど、様々な属性や前提をなるべく細かく設定していきます。
気を付けねばならないのは、ペルソナとは「典型的なユーザー像」であって、企業にとっての「理想的なユーザー像」ではない点です。担当者は主観を離れ、顧客へのヒアリングや参考情報のリサーチ、アクセス解析などの客観的なデータをもとにペルソナを設定しましょう。
【2】ディレクトリマップ・ワイヤーフレームの作成
ディレクトリマップとは、オウンドメディアを構成するWebページのタイトルやURL、記事内容をまとめた階層図です。カスタマージャーニー(サイト訪問者が商品等の認知から購入へ至るまでの道のり)を意識して、ターゲットユーザーを目標まで導くために必要なコンテンツと階層構造を組み立てていきましょう。
ディレクトリマップを作成することで、Webサイトの全体像を把握でき、コンテンツの不足や重複を避けられる効果もあります。
さらにディレクトリマップに基づいて、ワイヤーフレームを作成します。これはWebページのレイアウトやコンテンツの配置をシンプルな線や枠で表現した設計図で、その後の制作過程において必要不可欠なものです。
これら一連の作業は、プロジェクトマネージャーとWebディレクターが協力して行うのが一般的です。
【3】Webサイトの制作
いよいよオウンドメディアとなるWebサイトの制作です。
Webデザイナーはワイヤーフレームに従って各ページデザインを進め、マークアップエンジニアはHTML・CSS・JavaScript等を用いて、デザインに沿ってサイトを構築していきます。
オウンドメディア制作においては、WordpressなどのCMSを組み込み、オウンドメディアの肝となる記事コンテンツを追加・編集しやすい環境を設計するのが一般的です。CMSの構築やデータベースとの連携などはシステムエンジニアの業務になります(またはマークアップエンジニアが兼ねることもあります)。
Webディレクターは、これらのスタッフの業務進捗を管理し、外部業者との連携をはかりながら、サイト制作が円滑に進むようスケジューリングや諸々の調整を行わねばなりません。
オウンドメディア運用時の流れ
Webサイトが完成すれば、いよいよオウンドメディアのスタートです。
先に申した通り、オウンドメディアは公開して即座に成果が出るものではありません。地道に、堅実に運用を続けていくことで成果がついてきます。
【1】記事コンテンツの作成・更新
オウンドメディアの柱はコンテンツです。良い記事コンテンツが増えるほど、メディアの訴求力や信頼感は高まります。
立ち上げ時に設定した目標やテーマ、ターゲットを踏まえて、「記事を読んだユーザーが、何を感じ、どう行動してくれるか」を意識したコンテンツを作成できるのが理想です。ディレクター・ライター・クリエイターが一致協力して魅力的なコンテンツを発信していきましょう。
さらに、SEO対策としてより多くの記事を載せたい場合と、少数でも読み応えのあるコンテンツでユーザーに深く訴求していきたい場合とでは、同じコンテンツ更新でも担当者の労力は全く違ってきます。
オウンドメディアを立ち上げる段階で、目標達成のために必要なコンテンツ量やクオリティまで考慮した体制作りができれば、つまずくことなくメディア運用を成功に導けるでしょう。
【2】サイトアクセスの分析
オウンドメディアの運用は、記事コンテンツの更新だけではありません。各コンテンツが目標達成にきちんと貢献できているか、しかるべきユーザーにきちんと読まれているか、といった分析を行うのもメディア運用の大切な業務の一つです。
Webサイトへの流入キーワード、各記事ページのアクセス数・滞在時間・離脱率、ユーザー属性など、様々な情報を把握し、それに基づいてより多くのユーザーが興味関心を持っているテーマ・内容の記事コンテンツを増やしていくというのが一つのパターンです。さらにSEO対策を重視する場合は検索順位の計測も必須となります。
オウンドメディアの立ち上げ・構築はプロにお任せください
オウンドメディアの立ち上げから構築・運用の流れについて大枠をご説明してきました。それぞれの段階で、多岐にわたる準備や実作業が必要だということがお分かりいただけたかと思います。
実際、オウンドメディアの構築業務は専門性が高く、人的なリソースだけでなく様々なスキルが求められます。しかも「作って終わり」ではなく、中長期的な運用も見据えて構築しなければなりません。
「オウンドメディア=自社保有のメディア」ではありますが、だからといって内製にこだわる必要はなく、オウンドメディアの立ち上げ・構築の実績やノウハウが豊富な外部業者を活用するという選択肢を、プロジェクト立ち上げの段階から積極的に検討されることをおすすめします。
また、オウンドメディアの構築と運用は全く別のフェーズでありますが、これらは別々の組織が行うよりも、やはりWebサイトを構築したスタッフや制作会社が運用も担当するのが望ましいでしょう。制作者はオウンドメディア構築の目的や経緯はもちろん、Webサイトのシステム構成なども理解しているため、メディア運用に欠かせないPDCAをより早く回すことができ、速やかな成果の向上を期待できます。
私たちスプーは、創業以来様々な企業様のオウンドメディアやWebコンテンツの企画・制作に携わってきました。豊富な制作実績と蓄積されたノウハウをもとに、皆様の企業活動における様々な課題を解決する柔軟なご提案が可能です。
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